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2006年 03月 31日
第50号 ブランドと商標
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■商号登記は楽になったが・・・
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いよいよ5月から新会社法が施行されます。


この法律は、「資本金が1円で会社が設立できる」とか「取締役は1人
で良い」など、起業をしやすくするための法律であるとも言えます


登記手続きも簡単にするという目的で、「類似商号の調査」も不要に
なります。これにより、同一市町村(区)内で、同じ事業目的、かつ
同じ名前の会社をつくれるようになります。

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■商標はブランド戦略にとても重要
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商号とは、いわゆる屋号のことで、つまりは会社名のことと考えて良い
でしょう。これがある程度自由につけられるようになるのです。


一方で「商標」については、より厳密な対応が必要です。商標とは
商品やサービスにつけられる名前で、ブランド戦略に深く関わります。


商標は商号と違い、キチンと出願をしておかないと、他人が先に出願
して登録を受けた場合は、自社の商標を使用できなくなります。
(これについては、当メルマガの読者様でもあります「あいぎ特許事務所」
のサイトを参考にしてください。http://tm.aigipat.com/)


商標に関して最近話題になったのが、商標権を侵害しているとして、
アップル・レコード社が米アップルコンピュータを訴えた事例です。
アップル・レコード社とは、1968年にビートルズが設立した
レコード会社です。


両社は、1991年に「アップル」の名称を使って互いの専門分野に
進出することを禁じる協定を結んでいたそうです。しかし最近になって、
アップルコンピュータが「アイチューンズ・ミュージック・ストア」
によって音楽事業をはじめてしまいました。


コンピュータを売る「アップル」はOKだが、「音楽」を売る「アップル」
はNOです、と元ビートルズのメンバーやオノヨーコなどが訴えたの
ですね。

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■真似るとトラブル
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商標についての訴訟は過去にもいろいろありました。
・「かに道楽」と「かに将軍」(動くカニの看板が類似)
・「ほっかほっか亭」と「ほかほか亭」(名称が類似)
・「スターバックス」と「エクセルシオールカフェ」(マークが類似)


余談ですが、韓国では日本のファスナーメーカー「YKK」が韓国の
ファスナーメーカー「YPP」を不正競争行為として訴えましたが、
韓国の裁判所はこの訴えを棄却したそうです。


売れている商品やサービスを真似して、良い部分を吸収することは
とても重要なことです。しかし、購入者が判断を間違えてしまうような
名前や色使いを意識的に行うことは、フェアではありません。


特に最近では、知的財産権の保護機運が非常に高まっていますので、
無意識のうちに似てしまったとしても、言い逃れることはできません。


この韓国の事例は、YKK陣営にとっては全く納得できない司法判断
といえるでしょう。

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■身近な視点で
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これだけインターネットが発達してくると、これまで「商標」という
ものを意識してこなかった中小企業にとっても他人事ではなくなって
くる、とあいぎ特許事務所の山田所長は警告しています。


いままでは出願せずに使用していた商標が、インターネット上で
公開したとたん、ある日突然見知らぬ会社から電話がかかり、使用禁止
の通達を受ける、という事態になりかねないのです。


「ブランド」というと、形のない概念的な意味合いが強いですが、
「商標」として法律的見地から検討すると、出願していないことは
大きなリスクと言えるでしょう。


ブランドを支える大切なお客様(ファン)を混乱させないためにも、
一考の余地はありそうですね。



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■編集後記
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ビートルズの残党がお金のことで訴訟をおこしたりすると、少しがっ
かりしてしまいます。現役時代に十分稼いだはずなのに、もっとお金
が欲しいのでしょうか。人間の欲望にはキリがないのですね。そんな
ビートルズ関係者に、ジョン・レノンのこの言葉を送りましょう。



「ビートルズは、欲しいだけの金を儲け、好きなだけの名声を得て、
 そして何もないことを知った」              

                             BY ジョン・レノン

by raymac | 2006-03-31 18:59


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